
3月1日に放送されたフジテレビ「直撃LIVEグッディ!(グッデイ)」での木村太郎氏の発言に、元スーパー従業員の私は…異議あり!です。
この日、紹介されていたのはスーパーでの“買い物客のマナー問題”。
それは、スーパーで買い物客が一度カゴに入れた商品を元に戻さないというモノでした。
スーパーで買い物をしたことがある方なら、一度は見かけたことがある光景ではないでしょうか?
Contents
議論の発端になったツイッターの投稿
乾物売り場に「ほうれん草」放置 スーパー客のマナー悪化に苦言多数
スーパー客のマナーが告発され反響 「見つけたら従業員に言って」とスーパー店長|ニフティニュース

にょに紫@242murasakiさんという方がツイッターに投稿された上記の画像を発端に、この問題が議論され始めました。
乾物の棚に“野菜”。
それもまるで、陳列されているみたいに並べられています。
「直撃LIVEグッデイ!」(2019年3月1日放送分)
番組では、スーパーの買い物客のマナーについて特集。途中で購入をやめた品物を、本来あった棚ではなく、別の棚に置いてしまう客がいることがネットなどで話題となっているが、フジテレビでは100人に調査し、買わなくなった品物をどこに戻すかと質問。約8割は「元あった棚に戻す」としたが、一部では「戻すのは店員の仕事」などの理由で元の場所に戻さない人もいた。
木村太郎氏 棚に戻すのは「店員の仕事」スーパーで別棚返却問題に持論(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
MCの安藤優子氏の
「外国では返品棚が別に設置されている所も多いので、日本もそういう対策をとったら良いのでは?」
という意見から始まり、コメンテーターたちは
「レジの方やお店の方に、事情を話して渡せば…?」
などの意見を出し、番組は進められていきました。
スーパーで勤務したことがある私は、いつになく興味深くテレビを見ていました。
スーパーの買い物客マナー問題に対する木村太郎氏の意見
そこにドヤ顔で持論を展開しはじめた木村太郎氏。
まず木村氏は、
棚に戻すのは“店員の仕事”
と切り出しました。
この番組をリアルタイムで見ていて、初めは

それは、私たちの仕事だったの?
そりゃ、知らなかったわぁ~…
と思ったりしました。
勤務していた店舗の一部では“売り場戻しタイム”みたいなモノが実施されていたりもしたので、私たちの仕事であるという発言に、ある意味、納得したりもして…。
でも、木村太郎さんの発言には続きがあります。
スーパーって人件費を倹約して客にやらせてる。
持ってきて、運んで、袋にまで入れる
整理するのは本来は店員の仕事。
だからお客さんがやめたと、どこかに置いておく物を後に整理するのは店員の仕事。
客に責任持ってくれというのは間違いなんで、返したいものを返せる仕組みを作っていかないといけないし、店の責任でやらないといけないと僕は思う。
と持論を展開。
仕組みを作っていかなければいけないのはそのとおりですが、

発言の流れを聞いている内に、

それは…違うだろォー!!
と、テレビを見ながら久しぶりに憤ってしまいました。
それは何故か…
私が現場で感じたり、実際に経験したことを書いていきます。
実際にスーパーで見た悪いマナー事例
・途中で買い物をやめた商品を別の場所に置く
・アイス ⇒ お菓子棚
・精肉パック ⇒ 冷凍ケース
・惣菜 ⇒ 青果売場
・鮮魚パック(刺身や生魚) ⇒ パン売場
・精肉パック ⇒ 衣類売り場の特売ワゴンの中に隠す
・試食イベント商品(ハム) ⇒ お菓子棚の奥
・精肉や鮮魚パックを上から押して穴をあける
…etc
精肉や鮮魚は、常温の場所に置き時間が経つと商品からドリップ(液汁)が出ます。
私が勤務していたスーパーでは、上記商品は全て廃棄されていました。
・履いてきた靴を棚に入れ、新しい靴と履きかえて帰った
・子供が勝手に持ってきた商品をその辺に放置する
・子供がかじった跡がある商品がグロサリー(一般食品)棚に置かれていた
・子供に手に持っている商品を、母親が「こんなモノは買いません!」と言ってレジ前の棚に置いた
・子供が支払い前の商品を勝手に食べていて、食べ終わった袋をポケットに入れた
…etc
・レジ待ちで足元に置いたカゴを足で押し進める
・パンまつりなどのイベントシールや値引きシールをはがし、自分が買おうとしている商品に貼る
・使用した後のカゴを、サッカー台の上に放置したまま帰る
・カートを駐車場に置いたまま帰る
・商品が入ったカゴを放置したままいなくなる
・パックに入っている生鮮食品をサッカー台に設置してあるビニル袋に入れ替え、そのパックを放置したまま帰る
・カゴやカートを持ち帰る
・トイレの予備トイレットペーパーを持ち帰る
…etc
勤務している頃は、どの事例にも日常茶飯事で、私も感覚が麻痺していたように思います。
そして、おかしな行動を見た時は、自分で後処理した方が早い。
などの理由で、その光景が段々とが当たり前になっていたような気がします。
それが、木村太郎氏のように小売り業やその店員を見下す人を生んでしまっているひとつの原因なのかもしれませんね…。
万引きとの境界線
実際に子供が食べた支払い前の商品のパッケージを隠すのは
万引きです!
私もこの時ばかりはお声掛けしましたが、

払ったらいいんでしょ!
と逆ギレされ、何かこちらが悪いことをしている気分になりました。
そして、怒られてギャン泣きしている子供を見て、正直心が痛みました。
食べた子供が確かに悪い。
でも、

それと、その袋を隠したこととは別問題だよね?
もし声を掛けられなかったらお金を払わずに帰ったのでは?
と心の中で思いつつ、逆に頭を下げなければならず、本当に疲れました。
日々、スーパーなどで買い物をしていると、カゴに商品を入れたままで放置されているのを見掛けることがあると思います。
アレは万引きの手口のひとつです。
最近は家族で手分けしていろいろな場所に放置したそのカゴごと万引きする窃盗団もいます。
大手量販店に勤務していた時は、防犯カメラの角度を変えてまで万引きする族もいました。
カートに商品でいっぱいのカゴを乗せて、そのまま車で持ち帰った万引き犯もいました(まぁ、そもそもカゴを持ち帰るのも万引きですが…)

とか

とかいう人には、知って欲しいと思います。
商品が廃棄処分になるということは、その分の利益が減り店に損害を与えたり、いらない仕事を増やしているのだから“営業妨害”や“器物損壊”と同じだということを…
人として恥ずかしくない行動を
小売業を離れて、買うだけの立場になった今、
コレは誰の仕事だとか、売る側・買う側とかの立場は関係なく、

という問題だと思っています。
東京都内のあるスーパーの店長は2月26日、「毎日ではありませんが、週1回は見つけますね」と取材に明かした。
「戻すのが面倒くさいなどと、冷凍食品や生鮮食品を常温の棚に置いたままにしたりするケースです。温度帯が違いますので、生鮮食品なら衛生上よくありませんので廃棄することになります。ほかのお客さまが見つけた場合も、自分で元の売り場に戻すのではなく、従業員に言っていただきたいですね」
また、大阪府内の生鮮食品スーパーの店長は、「野菜が普通の棚に置かれたり、冷凍庫で凍らせてダメにされたりすることなどは、たまにありますね」と話す。
「ほかに置くところがなくて、忘れてしまったりするケースもあるようですね。ジャガイモなどの土物などなら元の売り場に戻せますので、お客さまが気付いてそうしてくれるのはありがたいと思っています」
全国スーパーマーケット協会の広報担当者は、こう話す。
「買い物途中でいらなくなったりなど、前々から多い話ですね。SNSの時代ですので、注目されたのでしょう。各スーパーで対策を実際にするのは、難しいでしょう。商品は元に戻して下さいなどとアナウンスすれば、クレームが付いて客離れにつながることもありますから。客商売なので、あまり注意もできないのではないですか。今回のことで、少しでも商品を置きっ放しにする人が減ってくれればありがたいと思っています」
スーパー客のマナーが告発され反響 「見つけたら従業員に言って」とスーパー店長|ニフティニュース
さいごに
インタビューを受けたスーパーは週1回と言われていますが、私が携わったスーパーでは毎日のように見かける光景であり、毎時間あるといっても良いくらいの頻度でした。
こういうことをされるお客様は、きっと小売りの経験がないのだと思いますが、やはり社会常識としてどうなんだろうと思います。
いらなくなった商品(特に生鮮)は、理由を話して店員(レジも含む)に渡す
「コレ…やっぱり買うのやめます」
「持ってきてしまってスミマセン」
と、レジで言うだけで解決することなのに、隠したりその辺に放置したり…ちょっと理解に苦しみます。
商品は、代金を払うまで自分の物ではありません。
“誰も見ていないから…”とか“注意されてないから…”とか心の中で思っていると、どんどん心が醜くなります。
“罪にならない程度の犯罪”はやめましょう!
おかしなことをするヤツの為に、おかしなルールができるおかしな世の中だからこそ、自分自身が意識して行動することが大切だと思います。
そして、いろいろな場面で発言をするコメンテーターのズレた感覚を見極めることも必要かもしれません。