アルバイトにボーナスや夏季休暇なしは違法。大阪高裁が下した判決は画期的なのか。

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アルバイトやパート勤務は、ボーナス(賞与)がないと決めつけていませんか?

2019年2月15日、時給制で働いていたアルバイト勤務の女性にボーナス(賞与)支給を命じる画期的な判決を大阪高等裁判所が下しました。

この裁判は、上記アルバイト女性が“待遇格差是正”を求めたものであり、大企業では2020年4月から、また中小企業においても2021年4月から正式に導入される予定の“同一労働同一賃金”を含む「働き方改革関連法」に深く関わる判例となりそうです。

この裁判の概要や裁判に至る経緯、そしてネットなどの反応をまとめてみました。

アルバイト女性が訴えた裁判の概要

2018年1月24日、大阪医科大学(現・学校法人大阪医科薬科大学)の研究室秘書として業務を行ってきた有期雇用のアルバイト職員の女性が、正職員との間の基本給や賞与等の労働条件が大きく相違することは労働契約法20条に違反するとして差額賃金や損害賠償を求め、 大阪地裁に裁判を起こしました。

この女性は、2013年1月から2016年3月まで、大学の基礎系教室(診療科のない研究室)の1つである薬理学教室で教室秘書(アルバイト職員)としてフルタイムで勤務しており、各研究室には1~2名の教室秘書(正職員、契約職員、アルバイト職員等)が配置されていました。

この女性と他の研究室の正職員の職務内容は同じで、約30人の教授らを担当して一日中、スケジュール管理や来客対応、経理事務などに追われる毎日でした。

しかし、この女性の給与は正職員に比べて低く、賞与もありません。

年収にすると、新規採用の正職員と比較しても約2倍の格差がありました。また、アルバイト職員には夏季特別休暇もありません。

病気などによって欠勤した場合には、正職員には6ヶ月間は賃金全額が支払われ、その後も休職給が支払われるのに対して、アルバイト職員にはこのような補償はありませんでした。

これに疑問を抱き、女性は休職中の2015年に提訴に踏み切りました。

労働契約法 第20条とは?

第二十条
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
e-Gov法令検索

よしこchan
やはり、ちょっとわかりにくい…

労働契約法 第20条を少しわかりやすく説明すると

アルバイト・パートタイマーや契約社員など有期契約で働いている人と、正社員など無期契約で働く人との間で、(仕事の内容が同じならば)期間の定めがあることを理由に、賃金や福利厚生などの労働条件に不合理な差をつけてはいけない(禁じる)

という内容の、2013年4月に施行された法律です。

逆転勝訴に至るまでの裁判の流れ

大阪地裁では認められなかった一審判決

1審判決(2018年1月)は賞与の格差について「正職員の雇用を確保する動機づけとして一定の合理性がある」と判断。他の請求も退けられ、女性側が控訴していた。訴状などによると、女性は13年1月に研究室の秘書として採用され、時給制で勤務。約2年後に適応障害で休職し、16年3月に契約を打ち切られた。年2回の賞与が支払われないことなどが、労契法20条が禁じる「不合理な格差」に当たるかが争点だった。
「アルバイトへのボーナス不支給は違法」、大阪医科大が一転敗訴 大阪高裁判決 - 毎日新聞

上記のように、2018年1月の大阪地裁では請求を全て退けられていました

2019年2月15日 大阪医科大が一転敗訴 - 大阪高裁判決

学校法人・大阪医科大学(大阪高槻市、元・大阪医科薬科大学)のアルバイト職員だった50代の女性が、正職員との待遇格差は違法として、法人に約1270万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は15日、訴求を退けた1審・大阪地裁判決を取り消し、約110万円の支払いを命じた。江口とし子裁判長は「賞与を支給しないのは不合理」と述べ、労働契約法に違反すると判断した。女性の弁護団によると、同種訴訟で賞与の格差を違法とする高裁判決は全国で初めて。
アルバイトへのボーナス不支給は違法」、大阪医科大が一転敗訴 大阪高裁判決

争点は「待遇格差」

格差(英:disparity)とは、価格や資格、等級などののことをいい、格差社会賃金格差など、最近はよく耳にする言葉のひとつです。

その中で今回問題になっているのは待遇格差で、これを改めて正そうとすることを待遇格差是正といいます。

待遇格差是正の問題は、厚生労働省が方針立てて計画している「同一労働同一賃金ガイドラインの概要」にも記載されています(下記参照)。

待遇格差是正の今後とネットなどでの反応

現在の国の政策の流れでは、同一労働同一賃金という政策は「働き方改革」の柱として法改正の動きが本格化していくと思われます

ただ、ネットなどの反応はさまざまで、実際に同一労働同一賃金が実現された時の現場の反応が心配です。

ツイッター

某掲示板

名無しさん@1周年 2019/02/15(金)
同一労働、同一賃金! 正規も非正規もない。
この流れはとめられんな。

名無しさん@1周年 2019/02/15(金)
素晴らしい。
正社員って言葉なくしてくれ。
正社員や非正規って言葉じたいが弊害を産んでると思う。
同一労働同一賃金。
働く人は労働者で呼び方統一がいいと思う

さいごに…気になる立場の違い

このニュースを知った時、私は正直なにか複雑な思いがしました。

その理由は、労働者のほとんどは自分が受け取る給与の額しか見ていないけれど、企業の経営者には大変な話ではないかと考えたからです。

経営者側(給与を渡す側)にとって、この問題は総人件費の増加につながります。

受け取る方は賞与がもらえると嬉しいけれど、渡す側はそのお金を捻出しなければなりません。

2018年の“日本郵政ショック”みたいに、非正規の待遇改善のために正規社員の手当を減らしたりしなければならない企業が出てきたりはしないでしょうか?

この判決は、上告されなければ確定判決になって判例となります。

もし、被告側が上告した場合は、最高裁待ちとなるので、また新たに物議を醸しだすかもしれません。

今回の判決は画期的だとは思いますが、まだしばらくは様子見かな?と思っています。

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