毎年春にかけてニュースなどで「春闘(しゅんとう)」という言葉を耳にしますが、そもそも「春闘」って何?という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、春闘とは何か?という視点からその意味や目的、2019年の賃上げ要求や官製春闘について調べてみました。

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春闘とは?
「春闘(しゅんとう)」とは「春季闘争」の略で、労働組合が毎年春に実施する「賃上げ要求を中心とする闘争」です。
日本では毎年春(2月頃)から行われ、賃金のベースアップや労働時間の短縮など労働条件の改善を交渉する労働運動のことを「春闘」といいます。
呼称としては、労働組合側は「春季生活闘争」、経営側は「春季労使交渉」といい、合わせて「春季闘争(春闘)」と呼ばれています。
その狙いは?
現在の日本においては企業別労働組合が主流であるため、企業ごとの労働組合の交渉力の差が大きい。
そこで労働者が団結し、各企業や各産業が毎年同時期に歩調をあわせ団結することで交渉力を高めるということが狙いです。
「2019年 春闘」に関するニュース
経団連は28日、主要企業の労使が意見を交わす「労使フォーラム」を東京都内で開き、2019年春闘が事実上スタートした。経団連の中西宏明会長は賃上げに関し「多様な方法による年収ベースの引き上げを検討いただきたい」と呼び掛けた。基本給を底上げするベースアップ(ベア)偏重の交渉をけん制し、働き方改革に軸足を移す方針を示した。
2019年の春闘の目的は?
同日(28日)夕には連合の神津里季生委員長が労働組合の基本体制について講演する。連合は「2%程度を基準」としたベア要求を掲げつつ、大企業と中小企業の格差是正などを目指すとしている。
経団連は、政府の要請に応じる「官製春闘」からの脱却を打ち出した。
ここでわからないのは「官製春闘」という言葉です。
そこで「官製春闘」に関しても調べてみました。

「官製春闘」とは?
「官製春闘」とは、春闘の労使間交渉に政府が介入することをいいます。
安倍晋三首相は26日、東京都内で開かれた経団連審議員会で「景気の回復基調をより確かなものとできるような賃上げをお願いしたい」と述べ、2019年10月の消費税増税による景気の腰折れを防ぐため、19年春闘に向け賃上げを要請した。首相による経済界への賃上げ要請は6年連続。
首相は、具体的な数値目標は示さなかったが、「平成元年(1989年)の賃上げ率は今年の水準の2倍ぐらいあったそうだ。ちなみに5%だ」と言及した。89年はバブル経済の絶頂期。
経団連は、昨年の18年春闘指針に、首相の要請を受けた形で「3%賃上げ」目標を掲げたが、今回は「官製春闘」からの脱却を目指し、数値を盛り込まない方針。首相が明示しなかったのは、経団連側に配慮したとみられる。(2018/12/26-17:07)
ちなみに本来労使間の労働運動である「春闘」に2014年から政府が介入したことから「官製春闘」と呼ばれるようになりました。
その後の2015年と2016年も政府が介入しているので「官製春闘」と呼ばれています。
経済団体連合会(経団連)の中西会長は、経営者と労働組合が協議して決める賃上げについて、政府が口出しすることへの違和感を示した上で「多様な方法による年収ベースの賃金引き上げや総合的な処遇改善を(企業には)検討してほしい」と表明(2019年)されています。