【労働基準法】労働契約と派遣社員やアルバイト・パートで働く方に有利な“無期転換ルール”について

前回は【労働基準法】①総則-事業と労働者の定義・賃金・平均賃金について労働基準法の総則についてまとめました。

なかなか噛み砕いてもわかりにくい“労働基準法”ですが、少しずつでも勉強していきたいと思います。

【労働基準法】①総則-事業と労働者の定義・賃金・平均賃金について※条文あり

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では、今回は労働基準法の“労働契約についてまとめてみます。

Contents

【労働基準法】労働契約について

労働基準法違反の契約について(第13条)

(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
e-Gov法令検索

労働基準法に定める基準に満たない労働条件は無効であり、無効となった部分は労働基準法に定める基準が適用されます。

不当な労働条件を勝手に提示する雇用主がいますが、当然のことながらそんなことは国は認めていません。

法令を知らない雇用主から、言いたい放題の労働条件を提示された時は、上記“労働基準法 第13条”に於いて無効であることを伝えましょう。

例)“時間外労働に対する割増賃金は支払わない”と契約したとします。
⇒“時間外労働に対して法令の割増賃金を支払う”との契約になる。

労働契約期間について(第14条)

(契約期間等)
第14条
1. 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
一  専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
二  満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
2. 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
3. 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
労働基準法第14条 - Wikibooks

労働契約の期間について

労働契約の種類は、期間の定めのない契約(無期労働契約)と期間の定めのある契約(有期労働契約)があります。

無期労働契約とは、特定の企業(使用者)と雇用者との継続的な雇用関係において、雇用者が使用者のもとで永久的(定年制なし)または定年まで雇用期間を定めない雇用契約を指します。

反対に、有期労働契約とは、契約期間の満了日が設定された雇用契約を指します。

原則、有期労働契約の期間は3年を超えてはなりませんが、例外として

3年を超えて契約することが認められるもの
・一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの
例)土木工事などの有期的事業で、その事業の終期までの期間の契約
・都道府県知事による職業訓練のため長期の訓練期間を要するもの
5年まで可能なケース
・厚生労働省が定める基準に該当する高度の専門知識、技術、経験を有する労働者をそのような高度の専門知識等を必要な業務に就かせる場合
・満60歳以上の労働者を雇い入れる場合

とされています。

無期転換ルール

同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員・アルバイト・パートなど)からの申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる無期転換ルールというものがあります

よしこchan
更新されるか心配…
今の仕事が好きだから続けたいんだよなぁ~
ろうむkun

現在、有期契約労働者の方は、期間の定めのない無期契約に転換することで、雇用が安定し安心して働き続けられることになります。

長年同じ会社で勤務されてきた方にとっては、さらなるスキルの向上や維持にも繋がっていきますね。

契約社員やパート・アルバイトという有期労働契約で、同一企業にて5年以上契約更新されてきた方は、権利を行使してみてもよいのではないかと思います。

無期転換ルールは、平成25(2013)年4月1日に施行されたので、それ以降に開始する有期労働契約が対象となっています。

初めて該当する方が現れるのは平成30(2019)年4月なので、現在該当されていて無期労働契約への転換を希望される方は、一度、相談してみてはいかがでしょう。

詳しくは ⇒ 厚生労働省 有期契約労働者の無期転換サイト をご覧ください。

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有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準の留意点

雇止めの予告

使用者は、有期労働契約を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに雇止めの予告をしなければなりません

なお、雇止め予告が必要なのは、契約を3回以上更新している場合、または1年を超えて継続雇用されている場合です。

雇止めの理由の明示

使用者は、雇止めの予告後に、労働者がその理由について証明書を請求した場合は遅滞なく交付しなければなりません。

契約期間についての配慮

使用者は、契約を1回以上更新し、かつ1年以上継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。

まとめ

法律で定める基準に達しない労働契約は無効である。

労働契約の種類には“無期労働契約”と“有期労働契約”がある。

条件はあるが、現在有期契約労働者でも無期契約に転換できる“無期転換ルール”に申し込む権利がある。期間の定めのない労働契約に転換することで、雇用が安定し安心して働き続けることができる。

働き方改革改正労働契約法により、派遣やアルバイト・パートで働く人にも有利な制度が制定されてきています。

どんな働き方を選ぶかは人それぞれ。

個人のライフバランスが優先でき、自由な働き方が選択できる世の中になっていくといいですね。

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