
先日、ブラック企業マップを活用して、ホワイト転職を成功させよう!という記事をツイッターで共有したところ、たくさんの反響をいただきました。
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ブラック企業マップを活用して、ホワイト転職を成功させよう!
その中で当サイトの Twitter に
このイラつきはどこへ向ければいいんだよ!
労基もたいしてあてにならない”
というリプをいただきました。

そんなこと、有り得るの?
と思われがちですが、実は私も、“雇用契約書がない”または“雇用契約書を渡さない会社”で働いた経験があります。
ある会社では、いくら要求しても“労働条件”を提示してくれず、“委託社員”にされた挙句、結局1年間の給与明細ももらえませんでした。
働いている時は、日々に追われ、確認や請求をつい後回しにしてしまっていた雇用契約書。
そもそも“雇用契約書”って何なんだろう?
そして、“雇用契約書”がないのは違法なのかな?
という、なさそうでよく有る(?)問題について調べてみました。
Contents
雇用契約書とは?
雇用契約書は、労働契約書とも呼ばれています。
内容は、勤務時間、給与、休日など細かい労働条件について書かれており、雇用主(会社側)と使用者(働く側)の両者間で確認し、両者が署名捺印し、保管します。
雇用契約書とはなんですか?(人事労務Q&A)|人事、採用、労務の情報ならエン人事のミカタ
雇用契約書がないのは違法なの?
実は、法律上、雇用契約書は必ずしも必要というわけではありません。そのため、もしあなたの会社が雇用契約書をくれなくても、違法ではないのです。
雇用契約書がない!起こりえる3つのトラブルと違法性・対処法を解説
ほとんどの会社から雇用契約書をもらっていたので、もらうことが当たり前だと思っていました。
きちんとした会社では、主に入社時、雇用契約書を責任者と読み合わせをし捺印・契約した記憶があります。
でも、

と言って渡されたままで、お互いに確認しない会社もありました。
雇用契約書がなくても、法律上、違法ではありません。
だからといって、何の説明もなく雇用を開始しても良いワケではなく、会社側は何らかの形で労働条件を明示する義務があります。
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【労働基準法】①総則-事業と労働者の定義・賃金・平均賃金について※条文あり
では、労働条件を明示する義務について、下記に記していきます。
労働条件の明示について
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
○3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
e-Gov法令検索
上記のように、明示すべき事項は労働基準法施行規則第5条第1項に規定されており、以下の項目を明示しなければなりません。
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
(3)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
(4)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(6)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
(7)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
(8)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(9)安全及び衛生に関する事項
(10)職業訓練に関する事項
(11)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(12)表彰及び制裁に関する事項
(13)休職に関する事項
また、これらの内(1)から(5)((4)の内、昇給に関する事項を除く。)については書面の交付により明示しなければなりません。
採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。
※2019年(平成31年)4月1日より、労働者が希望した場合には、ファクシミリや電子メールによる明示も可能とされています。
雇用契約書や労働条件の提示がない、またはあやふやな会社は、ほぼ
ブラック企業といって間違いありません!
理由としては、
労働基準法に関する知識が乏しい、またはそれに準じていない会社であること。
などが挙げられます。
雇用主の意識が足りない職場は、いつか必ずブラックな部分が露呈されてきます。
“人を雇い入れる”という基本的な部分に於いて意識が欠落しているのに、職場ルールが整理できているハズもありません。
新しい仕事が始まるとき、今後に向けての展望に胸を膨らませ、見落としてしまいがちな契約書の内容。
雇用契約書を提示されている方も、時給や期間だけではなく、細部にわたって全体の内容を確認し、把握・納得しておくことが気持ちよく働くためには大切なことのひとつです。